コラム

セグメンテーションとは?意味やターゲティングとの違いを解説

2023.08.13

[コラム]

現代の顧客はニーズや消費行動が多様化しているため、効果的なマーケティングを行うには、適切なターゲット層を絞り込んでアプローチすることが重要です。

しかし、やみくもに顧客を分類するだけでは効果は得られません。そこで活用されるのが「セグメンテーション」です。市場に存在する不特定多数の顧客をさまざまな要素で分類し、グループ化する手法です。今回は、セグメンテーションの基礎知識から、分類法や活用方法まで詳しく解説します。

まず理解しよう!セグメンテーション(Segmentation)とは?

まず理解しよう!セグメンテーション(Segmentation)とは?

「セグメンテーション(Segmentation)」とは「区分」を意味し、マーケティング分野では「顧客を分類すること」を指します。ここでは、セグメンテーションの基本的な概念について、以下の2つのポイントから解説します。

  • セグメンテーションの意味
  • ターゲティング、ポジショニングとの関連

セグメンテーションの意味

セグメンテーションとは、自社が対象とする市場領域に存在する不特定多数の顧客を、さまざまな要素に基づいて細分化することです。セグメンテーションにより細分化したグループを「セグメント」と呼び、自社がターゲット層としてアピールすべきセグメントを把握することで、マーケティング施策の効果や効率を向上させやすくなります。

ここでいう「顧客」とは、自社の商品・サービスをすでに購入している消費者や企業だけでなく、将来的に獲得していきたい消費者や企業も含まれます。

マーケティングにおいて重要なのは、「顧客に響くアプローチ」を行い、購買へ結びつけることです。適切なセグメンテーションを行うことで、自社の商品・サービスがどのような顧客層にとって価値があるのかが明確になり、ターゲットを見誤ることなく、効果的なマーケティング施策の展開が可能となるでしょう。セグメンテーションは、マーケティング戦略の基盤となる重要な要素といえます。

セグメンテーションとどう違う?ターゲティング、ポジショニングとの関連

「ターゲティング」と「ポジショニング」は、どちらもセグメンテーションと密接な関係がある用語です。用語の意味を整理すると以下のようになります。

用語用語の意味
セグメンテーション(Segmentation)市場の顧客層を分類し、細分化すること
セグメント(Segment)セグメンテーションで細分化されたグループのこと
ターゲティング(Targeting)ターゲットとなるセグメントを選ぶこと
ポジショニング(Positioning)顧客へのアプローチ方法を決めること

マーケティング分野では、的確に市場ニーズを把握して顧客にアプローチするために、古くから「STP分析」という手法が活用されてきました。STP分析は「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」3つの要素から成り立ち、「S→T→P」という順番で進めていきます。

つまり、ターゲティングは、セグメンテーションを行った後、自社の商品・サービスをどのターゲット層(セグメント)にアピールするか決めることを意味します。そして、STP分析の最終段階として、ターゲット層(セグメント)にアプローチするための方法を決めるのが、ポジショニングです。

セグメンテーションがビジネスで重要になる理由

セグメンテーションがビジネスで重要になる理由

マーケティングを効果的に行うために、セグメンテーションは欠かせない概念となっています。その理由や背景として、以下の2つが挙げられます。

  • ニーズ(消費行動や選択肢)の多様化
  • IT技術の進歩と社会生活への浸透

ニーズ(消費行動や選択肢)の多様化

現代社会では、急速な社会構造の変化に伴い、人々の消費行動が多様化しています。そのため、従来のように不特定多数に向けた画一的なマーケティング手法では、多様なユーザーのニーズを満たせなくなりました。

例えば、日本の世帯構成は以下の表のように大きく変化しています。1975年には、子供のいる世帯のほうが単身・夫婦のみ世帯よりも多かったのに対し、2020年時点ではその傾向が逆転し、単身・夫婦のみ世帯が過半数を占めるようになりました。

これに伴い、「おひとりさま市場」「ソロ消費」「DINKs(子供を持たない共働き世帯)」など、ターゲット世帯の消費特性に適した選択肢が注目を浴びています。

1975年19.5%11.6%42.5%
2020年35.7%20.5%26.1%
2040年(推計)39.3%21.1%23.3%
出典:「連合総研レポート」2019年9月号

こうしたライフスタイルの変化は、BtoCだけでなくBtoBの領域においても影響を及ぼします。人口動態(生産年齢人口の減少)に合わせた業務フローの見直し、多様な働き方を目指した働き方改革、社会変化に伴う商習慣の転換など、企業を取り巻くビジネス環境は急速に姿を変えています。

そのような市場環境において、従来の考え方を前提としたマーケティング活動では、顧客・消費者に響くアプローチはできません。企業が市場で競争力を維持するためには、顧客・消費者をセグメンテーションし、適切なターゲット層にアプローチするための戦略設計が必要です。

IT技術の進歩と社会生活への浸透

IT技術・インターネットの普及により、顧客との接点(タッチポイント)が増えています。

例えば、人々が接触するメディアは従来のテレビや新聞からインターネットへシフトしており、2020年には平日のインターネット利用時間が初めてテレビを逆転しました。ただ、年代別の利用傾向は異なり、若年層ほどテレビ離れの傾向が顕著で、60代ではテレビの利用時間に大きな変化はありません。つまり、ターゲット層へアプローチする適切なメディアが、多様化していることが分かります。

出典:総務省「令和4年版情報通信白書」

また、ひと口にインターネットといっても、プラットフォームやデバイスも多様化しています。デジタルメディアの種類でいえば、例えば、企業サイト、オウンドメディア、ニュースサイト、各種ポータルサイト、口コミサイト、ブログ、メールマガジン、SNS(Twitter、Instagram、TikTok)、YouTubeなどの動画投稿サイトやライブ配信サイト、店頭サイネージ、販促用アプリなどさまざまです。デバイスで見ると、パソコン、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどがあります。

顧客・消費者の情報収集手段がこれほど多様化すると、企業がとるべきマーケティング施策も従来のままでは対応できないでしょう。顧客自身が必要なときに必要な情報を能動的に入手できるようになったため、画一的なマーケティング手法では顧客に響かなくなりました。

こうした背景から、インターネット時代・SNS時代において競合他社より優位に立つためには、セグメンテーションの活用が不可欠となっています。

セグメンテーションの分類例と切り口とは?

セグメンテーションの分類例と切り口とは?

セグメンテーションは、ただ漠然と市場を細分化してもうまくいきません。市場の顧客層を適切に分類するためには、その「基準」を明確化することが大切です。

セグメンテーションの切り口(変数)は、業界や商品・サービスの種類によってさまざまです。ここでは、セグメンテーションの代表的な4つの分類について解説します。

  • 人口動態変数(デモグラフィック変数)
  • 地理的変数(ジオグラフィック変数)
  • 心理的変数(サイコグラフィック変数)
  • 行動的変数(ビヘイビア変数)

人口動態変数(デモグラフィック変数)

「人口動態変数(デモグラフィック変数)」は、「人口統計的変数」とも呼ばれ、以下のような人口統計的な要素のことです。

  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 職業
  • 所得水準

例えば、年齢を基準にセグメンテーションする場合は、10代・20代・30代などのグループに分けます。職業であれば、営業職・エンジニア職・公務員などに分けます。

人口動態変数は、セグメンテーションの基準として最もよく活用されます。なぜなら、これらの属性は消費者の実態ニーズと密接に関連している傾向があるからです。例えば、年齢によってライフステージや社会的立場が変わるため、必要とする商品・サービスも自然と変わってきます。

また、人口統計データは政府や自治体などから信頼性が高いデータを得られるため、人口動態変数を利用したセグメンテーションは効率的な手法だといえます。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

「地理的変数(ジオグラフィック変数)」は、以下のような顧客の居住地に関連する要素のことです。

  • 都道府県
  • 市区町村
  • 人口密度
  • 交通手段
  • 気候
  • 文化的背景

地理的変数の影響を受けやすい市場として、食品関連が挙げられます。例えば、関東と関西では好まれる味付けが異なります。そのため、加工食品市場では、関東と関西でおでんの味付け・具材を変えるケースがあるほどです。

また、家電製品や衣料品は、気候によって売れ行きが大きく変動します。関連する業界では、地理的変数を考慮した販売戦略を立てることで、地域の気候に合わせた生産計画・在庫管理の最適化を行うことができます。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

「心理的変数(サイコグラフィック変数)」は、以下のような人の心理と結びつく要素です。

  • 感情
  • 価値観
  • 嗜好性
  • パーソナリティ
  • ライフスタイル

心理的変数は、別の変数と併用して、多角的なセグメンテーションを行いたいときに便利です。例えば、人口動態変数で20代にセグメントされたグループに対し、食品に関する嗜好性(心理的変数)を組み合わせると、「20代でオーガニック食品に興味がある人」と「20代でオーガニック食品に興味がない人」に分類できます。

心理的変数は数値化できない「定性的」な領域であるため、これまではセグメンテーションが難しいと考えられていました。しかし、前述したように近年ではインターネットやSNSが普及しているため、その投稿内容によって消費者の心理的変数を把握・分析しやすくなっています。投稿内容や行動パターンを通じて、心理状態や嗜好性を詳細に把握することが可能です。

行動的変数(ビヘイビア変数)

「行動的変数(ビヘイビア変数)」は、商品・サービスに対する顧客の行動パターンを示す以下のような要素です。

  • 使用頻度
  • 購買環境
  • 購買タイミング

行動変数は、顧客の消費行動を把握するために役立つ要素ですが、以前は正確に把握するのが難しく扱いにくい要素だとされていました。しかし、顧客行動のオンライン化が進むにつれて、デジタルデータで行動変数を収集・活用できるようになりました。

例えば、ECサイトであれば、初回購入者がどの経路で自社サイトにたどり着き、どのページを閲覧したか、何回訪問したかなどを把握できます。複数回商品を購入した顧客の利用頻度、購入時間帯の傾向なども分析できます。

また、行動変数を用いたセグメンテーションを行うと、顧客を以下のように分類できます。

分類意味
トライアラー新規顧客
リピーター継続的に利用している顧客
ロイヤルカスタマー自社商品・サービスへの愛着や信頼が高い顧客

行動変数で顧客をセグメンテーションすると、顧客に合わせたプロモーションや販売方法など、適切なマーケティング戦略を策定しやすくなります。

セグメンテーションを行う上でのポイント(4R)

セグメンテーションを行う上でのポイント(4R)

市場のセグメンテーションを行うときは、「4Rの原則」と呼ばれる以下のポイントを意識すると、マーケティング戦略に活用しやすくなります。

  • 優先順位(Rank)
  • 規模の有効性(Realistic)
  • 到達可能性(Reach)
  • 測定可能性(Responce)

優先順位(Rank)

「優先順位(Rank)」は、各セグメントの特性を踏まえて、重要度に応じた優先順位を評価するための観点です。

自社の商品・サービスの特性や経営戦略などを考慮して、自社にとって重要な顧客層かどうかを判断することが大切です。もしも「どの顧客層も重要」という場合には、優先順位に基づいたターゲティングは難しいでしょう。

規模の有効性(Realistic)

「規模の有効性(Realistic)」は、各セグメントから得られるであろう売上規模を評価するための観点です。

自社の商品・サービスを特定のセグメントの顧客に向けて販売したとき、どれくらいの売上や利益が得られるかは事業の方向性を大きく左右します。例えば、自社商品とセグメントの属性がマッチしていても、市場規模が小さすぎると十分な収益が得られません。

そのため、たとえ確度が高い顧客層であっても、ターゲティングすべきではないと考えられます。商品開発・マーケティング・営業などにかかるコストが、売上高で回収できない可能性が高いからです。

到達可能性(Reach)

「到達可能性(Reach)」は、各セグメントにリーチする難易度を評価するための観点です。つまり、自社が実施するマーケティング施策によって、顧客に認知・購入してもらえる可能性のことです。

顧客層や顧客ニーズにマッチした商品・サービスを市場に展開していても、顧客に認知してもらい、顧客のもとに商品が届かなければ収益につながりません。そのため、「商品をセグメントにアピールする手段があるか」「商品を購入・届ける適切な手段があるか」という点を考慮し、セグメントを評価することが大切です。

測定可能性(Responce)

「測定可能性(Responce)」は、セグメントに属する顧客の反応を、適切に測定できるかを評価するための観点です。

マーケティング施策の効果を最大化するためには、効果測定を行って「どこに問題があるか」「改善すべきかどうか」などを分析し、PDCAサイクルを回すことが大切になります。定量的な数値データを収集できる顧客であれば、適切なマーケティング施策を実行しやすくなるでしょう。

セグメンテーションで効果的なマーケティングを実施しよう

セグメンテーションで効果的なマーケティングを実施しよう

セグメンテーションは「STP分析」の最初のフェーズであり、その後のターゲティングとポジショニングを行うために、適切な切り口で顧客層を分類することが重要です。「人口動態変数」「地理的変数」「心理的変数」「行動変数」などの視点から、自社の商品・サービスの性質に合った切り口を選択しましょう。

その上で、「優先順位」「規模の有効性」「到達可能性」「測定可能性」といった観点からセグメントを評価します。自社商品・サービスに適合するターゲット層を正確に把握することで、適切なマーケティング戦略を策定することが可能となります。

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