コラム

市場調査とは?効率的な調査方法とフレームワークを紹介

2023.08.09

[コラム]

「市場調査」は、マーケティングや販売戦略を策定するために、市場動向やトレンドを把握する重要な施策です。市場調査により、需要の実態を正確に把握し、より効果的な戦略を立てやすくなります。

しかし、市場調査は適切な手法で行わなければ、信頼性のあるデータを得ることはできません。そこで今回は、市場調査の基本概念や代表的な調査手法などについて詳しく解説します。

市場調査とは?マーケティングに活かすために意味を知ろう

市場調査とは?マーケティングに活かすために意味を知ろう

「市場調査」とは、自社の商品やサービスのマーケティング戦略を立てるために、市場の動向やトレンドを調査することです。

市場調査の実施により、顧客ニーズや自社商品の認知度を把握し、将来の市場動向を予測することも可能です。市場調査の結果に基づいてマーケティング戦略を立案することで、市場の実態に即した販売促進活動ができるようになり、収益拡大やブランドの価値向上を目指せます。

例えば、新型の家電製品の企画・開発を行うとき、市場で成功しているモデルの出荷数、販売価格、仕様などについて調査します。その上で、新製品の開発要件や販売計画を決めることで、最適な販売戦略を策定できるでしょう。このように、市場調査は競争力を高めるために欠かせない要素の一つです。

市場調査は主に4種類に分けられる

市場調査は主に4種類に分けられる

代表的な市場調査には以下の4種類があり、調査目的や必要な情報によって使い分けることが重要です。

  1. 販促調査
  2. 価格調査
  3. 商品開発調査
  4. 認知度調査・満足度調査

1.販促調査

「販促調査」は、どのようなプロモーションを行えば、販売数が増えるか把握するための市場調査です。プロモーションは、顧客の購買意欲を刺激し、商品やサービスの購買へ導くために重要です。

販促調査では、各種広告やイベントなどの候補を複数用意して、どれが顧客へのインパクトが強いか調べます。顧客からの評価が高いプロモーション施策を、実際の販売促進に採用します。販促調査を行うことで、プロモーションの費用対効果を改善し、収益の拡大を目指すことが可能です。

2.価格調査

「価格調査」は、自社の商品やサービスを、どれくらいの価格で販売すべきか把握するための市場調査です。詳細は後述しますが、販売価格は高すぎても低すぎても良くありません。

価格調査では、顧客に商品やサービスの仕様を説明した上で、「いくらなら買ってもいいか」を調べます。さらに、企業側が複数の選択肢を用意して「高すぎる」「安すぎる」と感じる範囲も明らかにします。価格調査により、顧客の実際の意識を反映させた適切な販売価格を設定することが可能です。

3.商品開発調査

「商品開発調査」は、ターゲット層となる顧客ニーズを把握するための市場調査です。どれだけ機能性が優れた製品を開発しても、それが市場のニーズに合うものでなければ、販売数が増えないため収益を確保できません。「顧客が何を求めているか」が分かれば、実態ニーズに即した商品開発が可能です。

商品開発調査では、顧客が現在使用している製品の要望・不満を調べます。顧客のリアルな意見を聞くことで、商品の開発・改善のためのヒントが得られます。 なお、調査の際は顧客が認識していない不満やニーズを明らかにするために、掘り下げた質問をするとより効果的な改善が可能です。

4.認知度調査・満足度調査

「認知度調査」は、自社と競合他社の商品やサービスが、顧客からどれだけ認識されているかを把握するための市場調査です。競合と比べて、自社商品やサービスの認知度が低い場合は、プロモーションやマーケティング戦略を見直しが必要となります。認知度が高いのに販売数が低い場合は、顧客の満足度に問題があるのかもしれません。

「満足度調査」は、自社の商品やサービスの満足度を調査するためのものです。商品の使用感や改善点を調査することで、今後の商品開発・改善に活かすことができます。

認知度調査と満足度調査は、問題点の把握や改善のヒントを得るために関連していることが多く、いずれも収益拡大につながる市場調査なので定期的に実施することが重要です。

市場調査の代表的な3つの方法

市場調査の代表的な3つの方法

市場調査にはさまざまな手法がありますが、ここでは以下に挙げる代表的な3つの手法について解説します。それぞれ特徴や向いている用途が異なるので、目的に応じて使い分けましょう。

  • アンケート調査
  • 現地調査、街頭調査、会場調査
  • テストマーケティング、ホームユーステスト

アンケート調査

「アンケート調査」は、事前に作成した質問に回答してもらう調査手法です。多くの回答数を得やすく、データとしても活用しやすいため、最も一般的な調査手法となっています。以前は郵送・FAXなどの形式で行われていましたが、近年ではオンラインで実施できるネットリサーチ(インターネットアンケート)も増えています。

アンケート調査は、「価格調査」「認知度調査」「満足度調査」などに適した手法です。ただし、質問内容や選択肢が趣旨に合わないものだったり、回答者にバイアスがかかったりすると、回答の精度や信頼度が低下してしまう可能性があるため、適切な企画・設計が重要です。

現地調査、街頭調査、会場調査

「現地調査」は、実際の現場でなければ得られない「生の情報」を集めるための手法で、街頭調査や会場調査とも呼ばれています。例えば、実店舗の顧客、イベントの参加者、街頭の消費者などに対して、商品やサービスの認知度・満足度に関する質問を行う調査手法です。

現地調査では、消費者と対面してリアルな意見に触れることができるため、机上では知り得ない市場の実情を把握できます。ただし、調査対象者の選定やタイミングによっては、調査結果に偏りが出ることがあるので注意が必要です。

テストマーケティング、ホームユーステスト

「テストマーケティング」は、商品やサービスを試験的に販売して、市場や顧客の反応を調べる手法です。実際に商品やサービスを世に出すため、「本当に売れるかどうか」をリアルに確認できます。ただし、テストマーケティングには相当のコストがかかるため、地域を限定するなど小規模で実施することがほとんどです。

販売という形式ではなく、「ホームユーステスト(モニター調査)」という形式で、テストマーケティングが行われることもあります。ホームユーステストでは、調査対象者の自宅に商品の試供品を送付して、その使用感を調べるためのものです。

いずれの場合でも、アンケート調査などで顧客からのフィードバックを受けます。実際に試用した顧客の声が聞けるので、テストした商品やサービスの開発・改善に役立ちます。

定量調査と定性調査で得られるデータ項目

定量調査と定性調査で得られるデータ項目

市場調査は、数量や割合など数値データで評価できる「定量調査」と、行動やニーズなど数値化できない情報を集める「定性調査」に分けられます。

ここでは、市場調査で得られる代表的な調査項目について以下の5つを解説します。

  • 【定量調査】認知度
  • 【定量調査】適正価格
  • 【定量調査】プロモーション方法
  • 【定性調査】現状への不満
  • 【定性調査】購入理由

【定量調査】認知度

商品やブランドの認知度は、販売数に大きな影響を与えます。十分に認知されていない商品やブランドは、たとえECサイトや店頭で見かけたとしても消費者は購入をためらうかもしれません。

市場調査では、自社の商品やサービスの「認知度」を定量データとして収集できます。例えば、以下のような質問をすると、商品やブランドの認知度を把握できます。

  • 「○○○○(商品名)を知っていますか?」
  • 「次の商品のうち、知っている商品はどれですか?」
  • 「○○と聞いて思い浮かぶブランドを3つ挙げてください」

回答者総数のうち「知っている」と回答した割合を数値化することで、商品認知度は「○○%」と表現できるようになります。また、「思い浮かぶ」と回答したブランドの割合も同様に数値化できます。

【定量調査】適正価格

前述したように、販売価格は市場や顧客ニーズの実態に合った適切な範囲に収めることが大切です。市場調査では、自社の商品・サービスの「適正価格」を、定量データとして収集できます。

いろいろな調査内容が考えられますが、適正価格を「消費者が考える理想的な価格帯から検討する」という観点で把握するためには、例えば、以下のような質問が考えられるでしょう。

  • 「普段、購入している○○○○(商品ジャンル)の価格はいくらですか?」
  • 「現在、○○○○(商品名)は○○○円ですが妥当な価格だと思いますか?」
  • 「購入しても良いと思う価格帯で、最も当てはまる価格帯はどれですか?」

ある1つの商品の価格についての質問に対し、「高すぎる」「やや高い」「普通」「やや安い」「安すぎる」といった回答の選択肢を設定すれば、設定価格と実際の価格感覚との差異を把握できます。また、価格帯で調査する場合には「1,000円未満」「1,000円以上~2,000円未満」「2,000円以上」といった複数の価格帯を選択肢として用意することで、顧客ニーズに近い価格帯を特定することができるでしょう。

【定量調査】プロモーション方法

市場調査では、自社の商品やサービスに適切な「プロモーション方法」を、定量データとして収集できます。代表的なプロモーション方法には、ラジオ・テレビCM、新聞・雑誌広告、動画広告、Webバナー広告などが挙げられます。例えば、以下のような質問でターゲットに適切なプロモーション方法を調査することができるでしょう。

  • 「よく目にする広告はどれですか?当てはまるものを選んでください」
  • 「YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokのうち、広告を見たことがあるSNSをすべて選んでください」
  • 「実際に商品やサービスを購入するきっかけになった広告媒体は次のうちどれですか?」

ターゲット層が普段よく目にする媒体(プロモーションしたい媒体)の割合が数値化できるので、どのメディアを活用するのかが明確になるでしょう。ただし、それぞれの媒体で「リーチしやすい顧客層」が異なることがポイントです。例えば、TikTok広告は若年層が見ることが多いため、若年層にリーチしやすいプロモーション方法となります。

【定性調査】現状への不満

市場調査では、顧客が感じている「現状への不満」を定性データとして収集できます。

例えば、消費者に「普段の家事で不満に感じていることは何ですか?」と質問した際で考えてみましょう。「掃除が面倒くさい」「共働きで掃除をする時間がない」という声が多いという結果が得られた場合、その結果から「自動で掃除してくれるロボット掃除機」へのニーズが発見できます。あるいは、手軽に利用できる「サブスクリプション形式の家事サービス」へのニーズもあるかもしれません。

このように、定性調査で顧客の不満を調査することで、これまでに想定していなかった新たな商品やサービスにつながるヒントが得られる可能性があります。

【定性調査】購入理由

市場調査では、顧客が使用している製品の「購入理由」を定性データとして収集できます。

例えば、「この商品を選んだ理由は何ですか?」という質問への回答は、「顧客がどのようなものを求めているか」「何が購買の判断基準になるか」をダイレクトに示します。顧客の判断基準を踏まえることで、顧客に選ばれる製品を開発しやすくなるでしょう。

また、購入理由を探る調査は、選択肢を用意すれば定量データとして数値化できます。しかし、あらかじめ想定した範囲の回答しか得られない上に、選択肢によって顧客にバイアスがかかることがあります。そのため、顧客の思考や心理を調べたいときは、定性調査を行うのがおすすめです。

市場調査の注意点とは

市場調査の注意点とは

市場調査を実施する際は、以下の4つの注意点を意識することで、より効果的にマーケティングに活用できます。

  • 市場調査の目的を明確化する
  • 仮説を立てた上で検証する
  • 適切な調査方法で情報を得る
  • 本音を引き出せる調査を行う

市場調査の目的を明確化することで方向性が定まり、仮説を立てることで調査手法や内容を具体化しやすくなります。例えば、自社商品の売上が伸びない理由を調べたいのであれば、認知度や満足度の低さが仮説として挙げられます。そのため、認知度調査や満足度調査などが必要になるでしょう。

調査の実施時には、消費者の本音を引き出せるように、質問内容を顧客目線で決めることも大切です。スムーズに回答できる理解しやすい質問や選択肢を意識することで、顧客の率直な意見を抽出しやすくなります。ただし、調査を実施する側の「この選択肢を選んで欲しい」「こういう結果が得られるだろう」といった意図的な期待や予想に回答が引きずられないよう、適切に設計することが重要です。

市場調査の意味を理解して目的達成につなげよう

市場調査の意味を理解して目的達成につなげよう

市場調査は、目的を明確化した上で、適切な手法で実行することが大切です。自社が抱える課題や知りたい情報に適した手法を選ぶことで、商品やサービスの市場でのポジショニングの把握や、新たな商品開発や将来の市場予測に役立ちます。

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