コラム

オンラインインタビューの実施方法とは?主な手順やポイントを解説

2023.08.01

[コラム]

「オンラインインタビュー」は、マーケティングリサーチの調査手法の一つで、Web会議ツールを活用して非対面で行われます。オフラインの対面インタビューと比べて、低コストで実施できることや、参加者の負担を軽減できることが魅力です。

ただし、オンラインインタビューには、インターネット接続トラブルのように、オンラインならではの留意点もあるため、適切な準備が欠かせません。そこで今回は、オンラインインタビューの実施方法と主な手順、実施する際に押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

目次

オンラインインタビューとは?その特徴について

オンラインインタビューとは?その特徴について

「オンラインインタビュー」とは、インターネット上で、Web会議ツールを活用して実施するインタビュー手法です。1対1のデプスインタビューや、複数名で行うグループインタビューなど「対面形式で行われるインタビューをオンライン化したもの」とイメージすると分かりやすいでしょう。

オンラインインタビューは、主催者と回答者の双方にインターネット接続の環境があり、Webカメラ付きのパソコンやスマートフォンを持っていれば実施できます。オフライン形式と異なりリアルな開催場所に集まる必要がないため、遠隔地にいる人にもアプローチしやすいことや、会場の確保や設営のコストも軽減できることがメリットです。

また、環境さえ整っていれば、オンラインインタビューには自宅からでも参加できるため、回答者にとって負担が少ないことも特徴です。開催場所への移動が不要で、参加者の都合に合わせて柔軟にスケジュールを調整できます。

オンラインインタビューはどうやる?主な手順を解説

オンラインインタビューはどうやる?主な手順を解説

一般的に、オンラインインタビューは、以下のようなステップで実施します。各ステップで意識すべきポイントや注意点について見ていきましょう。

  1. インタビューフローを設計する
  2. 謝礼や報酬額を決めて参加者を募集する
  3. 参加者を選定し、開催日程を調整する
  4. 参加者へ当日のスケジュール・質問事項・注意点などを共有する
  5. インターネット環境を事前に確認する
  6. インタビューを実施する(当日)
  7. 参加者へ謝礼・報酬を支払う
  8. 終了後なるべく早く議事録を作成する
  9. 分析を行い、報告書を作成する

1.インタビューフローを設計する

まず、インタビューフローを設計します。以下のようなポイントを整理し、調査目的と質問事項を明確にします。

  • インタビューの目的は何か
  • どのような情報や意見を得たいのか
  • 質問を、どの順番で進めるか

インタビューフローの設計によって、参加者の属性や選定基準が変わることもあります。調査結果の分析のしやすさや信頼性にも関わってくるため、適切な設計を行うことが大切です。

2.謝礼や報酬額を決めて参加者を募集する

オンラインインタビューでは、参加者に謝礼や報酬を支払うのが一般的となっていて、5,000円程度が相場です。報酬額を決めたら、参加者の募集を開始します。

謝礼や報酬額の具体的な金額を決めるのは難しく、最適な設定をしないと回答数や回答精度にも影響する恐れがあるので注意が必要です。そこで、適切な設定額を専門家へ相談するのもおすすめです。例えば、三菱UFJ信託銀行が提供する情報銀行サービス「Dprime」では、豊富なオンラインインタビュー実績をもとにした報酬設定のサポートを受けることもできます。

3.参加者を選定し、開催日程を調整する

参加希望者が集まったら、その中から条件に適合するインタビュイー(インタビューを受ける対象者)を選定します。選定後、対象者にアポイントメントを取り、インタビューの日程を調整します。インタビュイーの都合に柔軟に対応するために、複数の候補日を提示して日程の希望を聞くことが大切です。

オンラインインタビューに限らず、日程調整は意外と手間がかかるものですが、「Dprime」ではインタビュイーとの日程調整も含めて対応しています。手を抜けない調整作業を任せられることで、当日までの準備に専念できることは大きなメリットといえるでしょう。

4.参加者へ当日のスケジュール・質問事項・注意点などを共有する

日程調整が完了したら、当日のスケジュールや質問事項、注意点などを事前に参加者と共有します。参加者がインタビューに慣れていたとしても、初めて聞く質問にスムーズな回答ができるとは限りません。事前に必要な情報を共有しておくことで参加者も準備ができ、回答の質の向上が期待できます。

「Dprime」では、インタビュイー(インタビューを受ける対象者)への事前連絡も代行しています。参加者への情報共有もれの心配がなく、円滑な段取りを実現する大切なサポートです。

5.インターネット環境を事前に確認する

スケジュールなどの事前共有と合わせて、参加者のインターネット環境や使用するデバイス、Webツールについても確認が必要です。Webカメラやマイクは接続トラブルが発生しやすいため、事前に接続テストを行っておくと安心です。

また、インタビュイー(インタビューを受ける対象者)がWeb会議ツールなどに慣れていないケースも珍しくないため、ツールの使い方についても詳しく共有しておくといいでしょう。

「Dprime」では、オンラインインタビューの実施前に、参加者との接続テストを行っています。当日のインタビューをスムーズに行うためには欠かせないフローです。何らかの接続トラブルがあった場合でも豊富な経験にもとづいて適切に対処できるため、オンライン開催のリスクを最小限に抑えられます。

6.インタビューを実施する(当日)

オンラインインタビュー当日は、まずインタビュアーが自己紹介や概要説明を行います。グループインタビュー形式で複数の参加者がいる場合は、参加者にも順番に自己紹介をしてもらうと、緊張がほぐれ雰囲気がなごむ効果が期待できるでしょう。

インタビュアーが注意したいポイントの一つは「自分が思う以上にゆっくり話す」ことです。一般的に、人は緊張すると話すスピードが速くなる傾向があり、早口では参加者が理解しづらくなってしまいます。また、参加者の会話とかぶらないように、相手が話した後は少しの間を置くことも大切です。

7.参加者へ謝礼・報酬を支払う

オンラインインタビューが終了したら、事前に設定した謝礼・報酬を、銀行振込などの方法で参加者に迅速に支払います。経費計上の方法や請求書(受取書)の有無などは企業によっても異なるため、経理部門に事前に確認して、必要な書類がある場合には準備しておきましょう。 「Dprime」は、参加者への謝礼・報酬の支払い処理にも対応しています。参加者との信頼関係には欠かせない手続きのため、自社で対応するには煩雑になりがちな事務処理でも安心して依頼することが可能です。

8.終了後なるべく早く議事録を作成する

オンラインインタビュー終了後は、できるだけ迅速に議事録を作成します。Web会議ツールでは開催画面を録画・録音できるので、そのデータを利用すれば正確な文字起こしが行えます。このとき、インタビュアーが感じたことや気づいたことなどがあれば、熱量が冷めてしまわないうちに記載しておくといいでしょう。

9.分析を行い、報告書を作成する

最後に、オンラインインタビューを通じて明らかになった情報を、報告書にまとめます。事前に設計した目的を達成するためには、分析結果を有効活用することが重要です。

また、録画・音声データを振り返り、インタビュアーの進行がスムーズにできていたかどうかや、不快な言動をしてしまわなかったかなどを検証することも大切です。これにより、次回オンラインインタビューを開催するときにも活かせます。

オンラインインタビューの5つのメリット

オンラインインタビューの5つのメリット

ここからは、オンラインインタビューを実施するメリットについて解説します。例えば、以下のような5つのメリットが期待できます。

  • カジュアルな雰囲気で、インタビューの受け答えをしやすい
  • 対面実施よりもコストが安くなる
  • 参加者の都合に合わせて開催時間を調整できる
  • 開催場所・地域を選ばず実施できる
  • 実際の生活場所での使用感などを確認できる

カジュアルな雰囲気で、インタビューの受け答えをしやすい

オンラインインタビューは自宅にいながら参加できるため、参加者にとっては対面形式のインタビューよりハードルが低いといえます。さらに、自宅にいる状態なので、カジュアルでリラックスした雰囲気が築け、受け答えがスムーズになる点が魅力です。また、この環境では質の高い回答を得やすくなり、踏み込んだ話や本音を聞きたい場合にも適しています。

対面実施よりもコストが安くなる

オンラインインタビューは、対面インタビューでは発生する会場費や交通費が不要で、かかわるスタッフも最小限で済むため人件費も削減でき、オフラインよりも低コストで実施できます。できるだけ低コストでインタビュー調査を実施したい場合は、オンラインインタビューは非常に魅力的な手法です。

参加者の都合に合わせて開催時間を調整できる

オンラインインタビューは、オフラインと比べて、参加者の都合に合わせて開催時間を柔軟に調整可能です。参加者は自宅から参加できるので、会場までの移動時間を気にする必要がなく、開始時間の直前まで家事などをしていてもすぐに参加できるメリットがあります。

開催者と参加者の都合が合えば、朝早い時間帯や夜遅い時間帯などにも開催でき、幅広い属性の対象者にインタビューすることも可能となります。

開催場所・地域を選ばず実施できる

オンラインインタビューは、参加者がインターネット接続環境やWebカメラ、パソコン、スマートフォンなどを持っていれば、場所を選ばす実施できます。そのため、遠方に住んでいる人や海外在住者、育児や介護で外出が難しい人など、従来の制約を受けずに多くの対象者にアプローチできます。調査対象者の選択肢が増えるのは、回答数や分析精度の観点からも大きなメリットです。

また、主催者側もオフィスではなく自宅から参加できるため、テレワーク(リモートワーク)環境での働き方にも最適な方法といえるでしょう。

実際の生活場所での使用感などを確認できる

オンラインインタビューは自宅から参加する人が多いため、実際に商品を使用してもらってインタビューを行う際などには、生活実態に即した情報も得られます。例えば、自社の商品・サービスの感想を知りたい場合にその感想だけでなく、どのような生活環境で使用しているかなどの情報も得ることが可能です。

オンラインインタビューのリアルタイムな映像を通じて得られる情報は、新たなアイデアや改善点の発見につながるかもしれません。

【準備編】オンラインインタビューで気をつけるポイント

【準備編】オンラインインタビューで気をつけるポイント

オンラインインタビューの成否は、事前準備にかかっているといっても過言ではありません。そのため、オフラインとは異なる「オンラインの特性」を理解することが大切です。

例えば、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 適切なモデレーター(司会者)を選定する
  • 参加者がネットにある程度慣れている必要がある
  • 集中しづらいので参加者を大人数にしない
  • 機材トラブル(ネット障害など)の対策をしておく

適切なモデレーター(司会者)を選定する

オンラインでグループインタビューを行う場合は、画面を介しているという距離感がどうしても生まれてしまい、参加者同士が影響し合って活発に意見交換する「グループダイナミクス」が起こりづらい傾向があります。そのため、グループインタビューでは、モデレーター(司会者)の選定が特に重要です。

モデレーターの役割は、参加者に溶け込んで話しやすい雰囲気をつくることや、テーマから逸脱しないように進行をコントロールすることです。モデレーターの適切な働きにより、参加者から本音を引き出したり、参加者同士の自由なディスカッションを誘導しやすくなったりします。

参加者がネットにある程度慣れている必要がある

オンラインインタビューの参加者は、インターネットにある程度は慣れている必要があります。なぜなら、オンラインインタビューはWeb会議ツールを使用し、Webカメラやマイクなどもセットアップしないといけないからです。そのため、インターネットに不慣れなシニア世代には、ハードルが高いかもしれません。

ただ、近年では簡単な操作で扱えるツールも増えているため、事前にしっかり説明やサポートを行えば、問題なくインタビューを実施できるでしょう。

集中しづらいので参加者を大人数にしない

オンラインでグループインタビューを行う場合は、少人数で実施するのもポイントです。オフラインでは参加者は4人~6人前後のケースが多いですが、オンラインの場合は3人以内が理想でしょう。参加者が多くなると集中しづらくなることや、各参加者の反応を確認するのに時間がかかることが理由です。

「Dprime」では、グループインタビューは実施していませんが、主催者(企業)対参加者1名のインタビューには対応しています。より密度の濃いインタビューが実施でき、深層心理に迫る調査分析にもつながります。また、開催日時を分けて複数名に対して順番にインタビューを行うことも可能です。

機材トラブル(ネット障害など)の対策をしておく

オンラインインタビューでは、「インターネットに接続できない」「声が聞こえない」「Webカメラが映らない」などのトラブルが生じるリスクがあります。前述したように、事前に参加者と接続テストを行っておくことが重要です。本番でのトラブルを想定し、モデレーターがトラブルシューティングについて理解しておくと、万が一の際も対処しやすくなるでしょう。

【当日編】オンラインインタビューで気をつけるポイント

【当日編】オンラインインタビューで気をつけるポイント

オンラインインタビューの当日は、オフラインとは異なる「オンラインの特性」を踏まえて、以下のような点に注意が必要です。

  • インタビュー時間は60~90分程度にとどめる
  • 参加者へ録音・録画の許可を取る(使用目的や使用範囲も説明)
  • オンラインでは写真撮影が難しいことも

インタビュー時間は60分~90分程度にとどめる

オンラインインタビューは、60分~90分以内程度にとどめるのがおすすめです。主催者・参加者ともにモニター画面を見続けることになるため、身体的な負荷が高くなります。疲労で集中力が低下すると、良質なインタビューが行えません。

どうしても長時間のインタビューを行う必要がある場合は、途中で休憩時間をはさむか、インタビュー日を複数回に分けて実施しましょう。

参加者へ録音・録画の許可を取る(使用目的や使用範囲も説明)

議事録や報告書の作成には録画・録音のデータが欠かせません。事前の許可なく録画・録音を行うと、後々トラブルになる可能性があります。そのため、オンラインインタビューの実施前には、必ず参加者から録画・録音の許可を取りましょう。その際は、必要な目的・範囲以外でデータを利用しないことを説明することも大切です。

オンラインでは写真撮影が難しいことも

オンラインインタビューでは、対面形式と違ってその場で写真を撮影できません。そのため、参加者の顔写真などが必要な場合はメールなどで別途送付してもらうか、許可を得てインタビュー画面のスクリーンショットを撮影するなどの対策が必要です。 いずれの場合でも録画・録音と同じく、写真の使用目的や使用範囲について参加者に説明することが大切です。特に写真の無断使用は肖像権にも関わるため、書面で許諾書などを取り交わしておく必要もあるでしょう。

オンラインインタビューを行って顧客の想いを汲み取ろう

オンラインインタビューを行って顧客の想いを汲み取ろう

オンラインインタビューは、場所にとらわれずに実施できる魅力的な手法です。参加者は自宅から参加できるためハードルが低く、リラックスした雰囲気で回答するために、良質なデータが集めやすくなります。

ただし、「オンラインの特性」に起因するリスク対策も不可欠です。インタビュー当日だけでなく事前準備をしっかりと行うことが大切です。また、録画・録音の許可、顔写真などを使用したい場合には適切な対応をしましょう。

三菱UFJ信託銀行(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ)が運営する情報銀行サービス「Dprime」なら、オンラインインタビューに不可欠なサポート体制が整っていて、回答者の詳細なパーソナルデータをもとに、高品質なオンラインインタビューによる調査が可能です。

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