コラム
インターネットリサーチ(インターネット調査)とは?活用方法やメリット・注意点を解説
2023.07.28
[コラム]

「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」は、インターネット上でアンケートを実施する調査手法です。
アンケートの作成から分析までのプロセスがインターネット上で完結するため、低コストかつ短時間で実施できることが魅力です。企業と回答者双方にとってメリットがあるため、近年では郵送調査に代わり調査手法の主流になっています。
しかし、インターネットリサーチは事前準備を適切に行わなければ、回答者の偏りや虚偽回答が生じやすいので注意が必要です。そこで今回は、インターネットリサーチの活用方法やメリット、調査フローや実施時のポイントなどについて解説します。
目次
インターネットリサーチとは?特徴を押さえよう

「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」とは、インターネット上で実施するアンケート調査のことです。企業のマーケティング活動において、市場動向や顧客ニーズを把握する手段として広く活用されており、「Web調査」や「オンラインサーベイ」とも呼ばれています。
従来のアンケート調査では、紙面を用いた郵送形式で行われるのが一般的でした。しかし、インターネットの普及により、実施する側と回答する側の双方が手軽にインターネットを利用できるようになり、調査手法もインターネットへとシフトしてきました。
インターネットリサーチの魅力は、アンケート紙面の印刷や郵送の必要がないため、低コスト・短時間で大量のデータを収集できることです。ただし、その手軽さゆえに虚偽回答が生じやすい点などに留意する必要があります。
インターネットリサーチの5つのメリット

「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」を採用することで、以下の5つのメリットが期待できます。
- スピーディーに実施できる
- コストパフォーマンスに優れている
- 回答者に負担をかけずに大量のデータを集められる
- アナログでは手間がかかる複雑な調査も可能になる
- 細かくセグメントしたターゲット層にアプローチできる
スピーディーに実施できる
ネットリサーチの最大のメリットは、短期間でスピーティーに調査できることです。調査の企画・設計から実施、データ集計、レポート作成まで、例えば、これまで数カ月を要していたものが2~3カ月程度で実施できます。
すべての工程でデジタル化されたデータを扱えるため、紙面の印刷や郵送、目視でのデータ入力やアナログな集計などの作業が削減でき、効率的な実施が実現できるのです。
コストパフォーマンスに優れている
ネットリサーチは、従来のアナログ形式の調査手法と比べると、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。アンケート調査を紙媒体で行う場合は、アンケート用紙の印刷や郵送などのコストがかかります。また、訪問調査の場合は、回答者の自宅へ調査員を派遣するコストが発生します。
一方、ネットリサーチでは、アンケート用紙の印刷・郵送といったコストがかかりません。アンケート用紙の回収や集計作業も自動化できるため、人件費の面でもコストダウンが期待できます。
回答者に負担をかけずに大量のデータを集められる
「インターネットを利用する」というネットリサーチの特性は、回答者の負担軽減にも役立ちます。紙媒体のアンケート調査とは異なり、回答者は手書きでアンケート用紙に回答を記入して返送する手間がかかりません。また、訪問調査のように決められた時間に対応する必要がありません。
すべてがインターネット上で完結するため、回答者にとって都合が良いタイミングで回答し、すぐに返信できることが魅力です。
アナログでは手間がかかる複雑な調査も可能になる
ネットリサーチでは、最初からデジタル形式でデータが収集されるため、手書きの回答の転記やデータ入力の作業が不要です。回答者の回答をそのまま集計・分析に利用できます。
さらに、アナログ手法では手間がかかるような複雑な調査も簡単に実施可能です。例えば、回答者に画像や映像を提示して感想を述べてもらうような調査もスムーズに行えます。
細かくセグメントしたターゲット層にアプローチできる
マーケティングリサーチを実施する際には、「特定の条件を満たす顧客のみからデータを集めたい」というシーンがよくあります。ネットリサーチなら、比較的容易に、回答者の属性を細かく絞り込んで調査を実施可能です。
例えば、年齢・性別・居住地などの属性や、顧客の購買記録によるセグメンテーションなどが挙げられます。あらかじめ回答者の利用許諾を受けたパーソナルデータを活用し、調査で求められる要素を抽出してターゲット層を細かく設定することが可能です。
インターネットリサーチの2つのデメリット

「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」を行う際は、以下の2つのデメリットに留意する必要があります。
- 回答者の偏りが出ることがある
- 虚偽回答が行われることがある
回答者の偏りが出ることがある
調査の目的や条件によりますが、ネットリサーチでは回答者の属性に偏りが出ることがあります。例えば、日本における個人のインターネット利用率は全体で82.9%ですが、20代(平日96.5%)と60代(平日72.8%)では利用率が異なります。
そのため、全世代からバランスよく回答数を得る必要がある調査や高齢世代向けの調査では、母数集団の年代バランスを適切に設定するか、高齢世代でも回答しやすい郵送調査が向いている場合もあるでしょう。
虚偽回答が行われることがある
インターネットはその特性から比較的「匿名性」が高いため、虚偽回答が発生しやすい傾向があります。例えば、本来は対象者でない回答者が属性を偽って参加したり、謝礼目的でいい加減な回答を送ったりすることなどです。こうした虚偽回答が増えると、データの信頼性や精度が低下してしまいます。
対策として、不正回答を削除するなどの対策が必要です。無効な回答をなるべくクリーニングするようにしましょう。このように、きちんとした回答結果だけを残し、調査の精度をアップすることが大切です。
インターネットリサーチの調査フロー・手順

一般的に、「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」は以下のような手順で行われます。
- 現状の課題から仮説を立て、調査企画を立案する
- 調査項目を設計し、調査票(アンケート)を作成する
- 調査を実施し、回答データを集計する
- データ分析とレポート作成を行う
各ステップで意識すべきポイントについて見ていきましょう。
1.現状の課題から仮説を立て、調査企画を立案する
ネットリサーチを実施する際は、調査企画の立案が重要です。まずは、自社が抱えている課題を洗い出し、その原因に対する仮説を立てます。
例えば、「商品・サービスの売上が伸びない」という課題の原因として、「認知度の低さ」や「競合他社への顧客流出」などの理由が仮説として考えられるでしょう。仮説を立てると、顧客にどのようなことを聞くべきか分かります。その上で、以下のような点に留意しながら、具体的な調査企画を立てていきましょう。
確認項目 | 内容 |
---|---|
調査の目的 | 調査の実施で明らかにしたい事柄。 |
結果の活用法 | 調査結果をどのように活用するか。 |
質問する項目 | 調査対象者にどのようなことを聞きたいか。 |
調査の対象者 | 性別、年齢、居住地 |
サンプル量 | 目標とする有効回答数はどれくらいか。 |
調査の期間 | アンケート依頼から回収までの期間はどれくらいか。 |
調査の対象者は、例えば、「20~50代の単身世帯の男女」など具体的に設定しましょう。必要なサンプル量は、「母集団の規模」と「許容できる誤差」で決まります。例えば、10,000人の利用者がいる商品・サービスについて調べる場合は、400件前後(許容誤差5%の場合)の有効回答数が必要だと考えられます。
サンプル量が多いほどデータの信頼性は高まりますが、調査コストもそれに比例して増加するため、調査目的や予算に合わせて調整することが大切です。
2.調査項目を設計し、調査票(アンケート)を作成する
調査企画を立てた後は、調査項目を設計し、アンケート項目を記載した「調査票」を作成します。以下のような点に注意して、回答者が答えやすい調査票を作成することが大切です。
- 分かりやすい表現になっているか
- 質問文や選択肢は簡潔かつ明確になっているか
- バイアスのかかるような(回答に偏りが生じるような)表現がないか
- 誤解を招くような内容になっていないか
余計な文章や回りくどい表現を避ければ、誰が見ても理解しやすい質問文や選択肢になります。また、回答者によって解釈が変わるような質問文や、必要以上の情報を与えてしまう質問文は避けましょう。
例えば、「甘い和菓子は好きですか?」という質問文と「Yes/No」の選択肢がある場合。回答は同じ「No」でも、次のような受け止め方の違いが生じます。
「和菓子は好きだが、甘さ控えめが好き」…回答はNo。
「和菓子は嫌い」…回答はNo。
このように、異なる解釈ができるような質問文では、誤った分析をしてしまう可能性があるため十分に注意しましょう。
3.調査を実施し、回答データを集計する
調査票を作成した後は、実際に調査を実施します。あらかじめ作成したアンケートページにアクセスしてもらうことで、回答者が調査に参加できます。
回答が集まったら、目的に応じた手法で集計します。代表的な集計方法は「単純集計」と「クロス集計」の2種類です。単純集計は、設問ごとの実数や割合を算出する方法で、アンケート全体の回答傾向を把握したいときに適しています。一方、クロス集計は、複数の設問や要素を組み合わせる方法です。例えば、直前の設問で特定の回答をした人を対象に、次の設問で詳細な情報を取得する場合に役立ちます。
また、自動集計の機能を備えたアンケートシステムを使用する場合は、集計途中で速報値を確認することもできます。これにより、期限前に回答進捗を確認したり、早い段階で回答の傾向を把握したりすることが可能です。
4.データ分析とレポート作成を行う
集計した結果をもとに、データの分析とレポートを作成します。分析手法にはさまざまな種類がありますが、ネットリサーチでは以下のような手法が活用されています。
分析手法 | 特徴 |
---|---|
クラスター分析 | 類似性があるクラスター(集団)に集計結果を分類する手法。商品やサービスのポジショニング分析などに役立つ。 |
時系列分析 | 時間ごとの変化を分析するための手法。売上高や販売数の動向を調査したり、変化の要因を抽出したりするために活用できる。 |
主成分分析 | 高次元のデータが持つデータを損なわず、低次元のデータに要約する手法。例えば、身長と体重という2次元のデータから、BMIという1次元のデータに変換するのは主成分分析の典型。 |
決定木分析 | ツリー構造(樹形図)を用いて、結果に影響を与えている要因を抽出する手法。課題の分析や競合比較などに役立つ。 |
テキストマイニング | 文字列を単語や文節で区切り、それぞれの出現頻度や傾向、相関関係などを分析する手法。自由記述式の回答から、重要キーワードを抽出するために活用できる。 |
それぞれの分析手法は向いている用途が異なるため、調査目的に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
分析結果をまとめたレポートは、企業のマーケティング戦略の策定に活用します。仮説どおりの結果が得られたのであれば、それをもとに施策を実行してビジネスに活かしましょう。異なる結果が出た場合は、戦略を練り直す必要があります。
インターネットリサーチを利用する際の注意点

「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」を実施する際は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 回答者のデバイスを考慮する
- 質問量を抑えて、シンプルな文を心がける
回答者のデバイスを考慮する必要がある
ネットリサーチを実施する際は、回答者が使用するデバイスの違いを考慮する必要があります。現在では、パソコン、スマートフォン、タブレットなど、消費者が利用するデバイスは多様化しています。
特にスマートフォンは画面が小さいため、パソコン向けに最適化されたアンケートページでは、スマートフォンユーザーが利用しにくく、回答率が下がるかもしれません。そのため、画面サイズが異なるデバイスでも快適に回答できるような、ユーザビリティを意識したアンケートの設問を作ることが大切です。
例えば、三菱UFJ信託銀行の情報銀行サービス「Dprime」では、回答者が自身のデバイスにインストールした専用アプリから回答します。専用アプリは、小さな画面でも回答しやすく最適化されたデザインなので、調査を実施する側が、回答者のデバイスの違いを特に気にすることなく調査が可能です。
■回答画面のイメージは以下のページでご覧いただけます。
Dprimeのご利用イメージ
質問量を抑えたシンプルな内容を心がける
ネットリサーチの魅力は、回答者が手軽に参加できることですが、その一方で手間のかかる調査は避けられる傾向があります。
例えば、「質問数が多過ぎる」「質問文や選択肢が分かりにくい」などの場合は、回答者が答える気持ちを失ってしまい、離脱率の増加や回答精度の低下を招くかもしれません。そのため、できるだけ質問数を減らし、理解しやすい文面にすることが大切です。
ネットリサーチに最適な質問量を見極めるには専門的な知見や知識が不可欠ですが、例えば、三菱UFJ信託銀行の情報銀行サービス「Dprime」では、インターネットリサーチの企画や設計、調査票の作成などのサポートを受けられます。ユーザビリティにも考慮した最適な調査を行うためには、こうしたサービスの活用も効率的でおすすめです。
インターネットリサーチを賢く利用してビジネスを加速させよう

今回解説したように、「インターネットリサーチ(インターネット調査/ネットリサーチ)」を活用すると、低コストかつ迅速にマーケティングリサーチを実施できます。回答者に負担をかけず、必要なデータを収集できる上に、得られた情報はデジタルデータで取り扱えるため、複雑な分析もしやすいのが大きな魅力です。
三菱UFJ信託銀行(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ)が運営する情報銀行サービス「Dprime」なら、回答者の詳細なパーソナルデータをもとに、高品質なインターネットリサーチが可能です。
■「Dprime」の詳しいサービス内容は以下でご覧いただけます。
【法人向け】情報銀行サービスDprime|三菱UFJ信託銀行の高品質マーケティングリサーチ
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