コラム

消費行動の変化と特徴とは?マーケティング活用事例も紹介

2023.07.24

[コラム]

「消費行動」は、企業が提供する商品・サービスを消費者が認知し、購入するまでのプロセスを指します。スマートフォンやSNSの普及によって情報へのアクセスが容易になったことから、この消費行動はますます複雑化しています。

消費行動への理解を深めれば、顧客の行動や心理を把握し、効果的なマーケティング施策を展開することが可能です。そこで今回は、消費行動の定義やフェーズ、代表的な消費行動モデルなどについて解説します。

消費行動の定義とは

消費行動の定義とは

「消費行動」とは、消費者が商品・サービスを購入するまでの行動を指します。この「行動」には、消費者の物理的な動作だけでなく、その過程における思考・心理の変化や、消費者が属する社会・環境の影響なども含まれることがポイントです。

近年では、消費者の行動や情報収集の手段が多様化しています。例えば、顧客が自社商品のテレビCMを見て「欲しい」と思っても、手元のスマートフォンで情報収集をする過程でインターネット広告に掲載された競合他社の商品を見つけて、その商品を購入してしまうことがあります。最終的な目的である「自社商品の購入」まで確実に消費者を誘導するためには、消費行動に影響を与えるさまざまな要素を理解した、適切なマーケティング施策の実施が重要です。

また、自社の商品・サービスを一度購入した顧客が、必ずしも継続利用・リピートするとは限りません。顧客が再び商品を購入しようと検討し、継続利用するまでの消費行動を考慮したアプローチを行うことで、顧客の「リピーター化」や「口コミの拡散」が期待できます。顧客ロイヤリティが醸成されれば、企業収益の安定や拡大につながり、競争力の強化にも寄与するでしょう。

似ているけど違う?購買行動との違い

消費行動と似ている用語・概念に「購買行動」があります。購買行動とは、消費者が商品・サービスを購入する際の行動のことです。消費行動と同じ概念として扱われがちですが、厳密には異なる点があります。

前述したように消費行動は、商品・サービス購入時の行動だけでなく、消費者を取り巻く社会や環境の影響も含みます。一方、購買行動は、一連の消費行動のうち、あくまで購入時の行動のみを指します。つまり、「購買行動は、消費行動の一部」といえるでしょう。

若者に多いリキッド消費の特徴!近頃話題のリキッド消費とは?

若者に多いリキッド消費の特徴!近頃話題のリキッド消費とは?

近年、永続的にモノを所有する特徴の「ソリッド消費」とは異なる、「リキッド消費」という消費スタイルが若者を中心に広まりつつあります。

リキッド消費は、2017年にマーケティング学者のフロラ・バルディ氏とジアナ・エクハルト氏が提唱した「所有」を前提としない消費行動の概念で、以下のような特徴があります。

  • 購買の流動性が高まっている
  • 所有しない消費が目立っている
  • 経験に価値を見出す傾向がある
  • 消費行動の省力化が進んでいる

短期間でブランドを切り替えたり、手間がかからないシンプルなモノ・購買手段を選んだりして、コストや労力を抑えることがリキッド消費の特徴です。リキッド消費の普及により、所有欲を満たすためのブランド力や、購買意欲を刺激するセールなどの効果が低下すると考えられます。

リキッド消費に対応するマーケティングとは?

前述したように、リキッド消費は「モノを持たない・所有しない」消費行動なので、以下のようなビジネスモデルの特徴を意識したマーケティングが重要です。

ビジネスモデル特徴
シェアリングサービス「モノ」や場所などを必要とする消費者に対し、企業が貸し出す、もしくは消費者同士で助け合うサービス。
車や住居に加え、育児支援のシェアリングサービスなども登場している。
サブスクリプションサービス月・年単位などでサービスを「利用する権利」を定額料金で契約できるサービス。
ドラマ・音楽・アプリなどのデジタルコンテンツと相性が良いが、家具や衣服など「モノ」のサブスクリプションサービスも増えている。
リサイクル・リユース系サービス不要になった「モノ」を再利用するサービス。
フリマアプリなどが該当する。新規購入より手軽・安価で、環境にも優しいため、サステナビリティの観点からも注目が集まっている。

リキッド消費は今後さらに浸透することが予想されるため、サブスクリプションサービスを始めるなど時代に呼応した戦略を展開することで、新たなビジネスチャンスが期待できるでしょう。

消費行動に影響を与える要素って?

消費行動に影響を与える要素って?

消費行動に影響を与える要素には、例えば、以下のようなものがあります。

  • 環境の変化
  • 社会と経済の変化
  • 人口動態の変化
  • テクノロジーの変化

これらの要素が消費行動にどのように影響を及ぼすのか詳しく見ていきましょう。

環境の変化

環境の変化は、消費者の身近な生活環境の変化をはじめ、感染症の流行や自然災害の発生、地球温暖化、国際間の紛争といった世界規模の変化も含まれます。近年では、SDGs(持続可能な開発目標)の普及啓発により人々の意識が変化し、「地球環境に配慮した耐久性のある商品を選ぶ」「リサイクル商品を選んで廃棄を減らす」といった行動が促進されています。

社会と経済の変化

社会と経済の変化は、例えば、働き方改革の推進やテレワークの普及などが該当するでしょう。従来の仕事のやり方が変わることで、家族で食卓を囲む機会が増えたり、余暇・趣味に充てる時間が増加したりします。

また、景気の先行き不透明感から、消費者は「消費」に対して消極的な傾向が見られます。生活防衛のために節約を心がけてムダな買い物は避け、できるだけ「良いモノを長く使う」という意識が高まっているとも考えられるでしょう。

人口動態の変化

人口動態の変化は、少子高齢化の加速、生産年齢人口の減少、単身世帯の増加などが該当するでしょう。消費者の年代や家族構成によって、市場ニーズは変化します。

例えば、「数年単位で単身者向けの商品・サービスのニーズが急速に高まる」「少子化により子供向け商品・サービスの市場規模が縮小する一方で、高級・高額品への志向が強まる」などの可能性もあります。このように、人口動態の変化が、ターゲット層に大きな変化をもたらすことが考えられます。

テクノロジーの変化

テクノロジーの変化は、インターネットなど通信技術の普及をはじめ、スマートフォン、SNSの普及、AI技術の発達などが該当します。消費者がいつでも大量の情報を入手、自由に取捨選択できるようになったことで、商品・サービスに関する情報収集、比較検討のプロセスが大きく変化しています。

購買意思を決定するのは何?消費行動の基本フェーズ

購買意思を決定するのは何?消費行動の基本フェーズ

ここからは、消費行動を次の5つのフェーズに分けて解説します。

  • フェーズ1:課題やニーズを認識する
  • フェーズ2:情報収集を行う
  • フェーズ3:類似品と比較検討する
  • フェーズ4:購買を決定する
  • フェーズ5:購買後の行動は「満足度」に影響される

これらのフェーズを通じて、顧客の購買意思が形成されるプロセスを詳しく探っていきましょう。

フェーズ1:課題やニーズを認識する

顧客が商品・サービスを利用する必要性を感じる段階です。顧客は、自身が直面している状況変化や課題に対して、「何かを達成したい」「困っている課題を解決したい」「既存のモノを買い替える必要がある」といったニーズを抱えています。こうした課題やニーズの認識が、購買意思形成の最初のステップとなります。

フェーズ2:情報収集を行う

顧客が自身の課題を解決し、必要性を満たせる商品・サービスに関する情報を収集する段階です。近年では、スマートフォンやSNSの浸透により、インターネットを介して情報を検索・入手するのは最も一般的な方法になっています。一方で、顧客の過去の経験や友人の口コミなど、さまざまな要素の影響も受けるでしょう。顧客は身近な手段で情報を収集し、選択肢を広げる基盤を形成していきます。

フェーズ3:類似品と比較検討する

課題解決に役立つ商品・サービスの候補が見つかり、その中から最良の選択肢を比較検討する段階です。顧客は、価格、機能性、デザイン、他者との差別化など、さまざまな要素で比較を行いますが、比較の基準は商品のジャンルや顧客の嗜好によって異なります。自身のニーズや優先順位を満たす最適な選択肢を見つけ出すために、繰り返し情報収集を行うこともあるでしょう。

フェーズ4:購買を決定する

顧客にとっての最良の選択肢が見つかり、購買を決定する段階です。顧客は最終的な検討を行い、選択した商品・サービスが自身のニーズに合致し、ミスマッチや失敗のリスクがないかを確認します。購買の決定要素は商品のジャンルや顧客の嗜好によって異なりますが、周囲の評判や口コミが決定要素になることもあります。

フェーズ5:購買後の行動は「満足度」に影響される

商品・サービスを購入した後の顧客の行動は「満足度」によって変化します。例えば、顧客が商品に満足した場合は、リピート購入やSNSへの口コミ拡散など積極的な行動を取ることがあります。一方、満足度が低い場合や問題があった場合は、返品や苦情の申し立てなど消極的な行動も考えられるでしょう。顧客の満足度は、企業やブランドの評判、顧客ロイヤリティにも影響を与える重要な要素です。

代表的な4種類の消費行動モデルを解説

代表的な4種類の消費行動モデルを解説

ここまでは消費行動の基本的なフェーズや顧客の購買意思の変化について解説してきました。しかし、顧客行動は環境要因の影響を受けるため、時代によって移り変わります。そのため、購買に至るまでの態度変容を示す、さまざまな「消費行動プロセスのモデル」が提唱されています。

ここからは、代表的な4つの消費行動モデルについて解説します。

  • AIDMA(アイドマ)
  • AISAS(アイサス)
  • AISCEAS(アイシーズ/アイセアス)
  • DECAX(デキャックス)

AIDMA(アイドマ)

「AIDMA(アイドマ)」は、1920年代のアメリカで提唱された消費行動モデルです。AIDMAを構成するフェーズは以下の5つです。

フェーズ名顧客行動
Attention注意
Interest関心
Desire欲求
Memory記憶
Action購買

AIDMAは、大量生産・大量消費が一般的な100年前のアメリカで誕生したので、短期的な消費行動を説明したモデルです。インターネットが発達した現在では、後発の消費行動モデルのほうが実態に即しています。

AISAS(アイサス)

「AISAS(アイサス)」は、2004年に広告代理店の電通が提唱した消費行動モデルで、インターネットの普及が反映されています。AISASは、以下の5つのフェーズから構成されています。

フェーズ名顧客行動
Attention注意
Interest関心
Search検索
Action購買
Share共有

AIDMAとの違いは、Desire(欲求)とMemory(記憶)の代わりに、顧客自身で情報を収集する「Search(検索)」と、感想や意見を「Share(共有)」するフェーズが加わったことです。企業と消費者が双方向に影響し合うことが、インターネット時代における顧客行動の特徴です。

AISCEAS(アイシーズ/アイセアス)

「AISCEAS(アイシーズ/アイセアス)」とは、2005年にアンヴィコミュニケーションズ社の望野氏が提唱した、インターネット時代の消費行動プロセスを反映させたモデルです。AISCEASは、以下の7つのフェーズから構成されています。

フェーズ名顧客行動
Attention注意
Interest関心
Search検索
Comparison比較
Examination検討
Action購買
Share共有

AISCEASは、AISASをより細分化し、消費者の心理変化を説明しています。AISASの5つのフェーズの途中に、「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」が加わったことがポイントです。顧客は最良の選択をするために、複数の類似商品・サービスを比較検討し、納得してから購買するようになりました。

DECAX(デキャックス)

「DECAX(デキャックス)」は、2015年に電通が提唱した、コンテンツマーケティング時代の消費行動を反映させたモデルです。DECAXを構成するフェーズは以下の5つです。

フェーズ名顧客行動
Discovery発見
Engage関係作り
Check確認・注意
Action購買
eXperience体験・共有

DECAXがほかの消費行動モデルと大きく異なるのは、「Atention(注意)」ではなく「Discovery(発見)」から始まっていることです。DECAXが従来のような企業目線ではなく、消費者目線で提唱されたことが理由です。

現在では、顧客はインターネットを通じて、自らの意思で必要な情報を得ています。そのため、企業側が注目を喚起するマーケティング施策は顧客に刺さりづらく、顧客目線で役立つ情報を提供する必要が生じました。DECAXは、そうした新時代の顧客行動に対応するためのモデルといえます。

実際に、DECAXの「Check(確認・注意)」は従来の「Search(検索)」と異なり、情報の信頼性を確認するフェーズです。企業とのEngage(関係作り)を繰り返しながら、信頼できる商品やサービスを購買し、得られたeXperience(体験)をSNSなどで共有することが特徴です。

時代による消費行動の変化!年代ごとの消費行動モデル 

時代による消費行動の変化!年代ごとの消費行動モデル

ここからは、以下のような時代ごとの消費行動を振り返り、時代背景と消費行動の関連性を考察してみましょう。

  • 2000年以前:マスメディア広告をもとにした消費行動
  • 2000年代:インターネット検索をもとにした消費行動
  • 2010年代以降:スマートフォンとSNSをもとにした消費行動

2000年以前:マスメディア広告をもとにした消費行動

インターネットが一般化する2000年以前は、新聞・雑誌の広告、ラジオ・テレビのCMなどのマスメディア広告が消費行動を左右していました。マスメディア広告は、企業から消費者に対して一方向の情報提供を行うことが特徴です。

この時代の消費行動は、「AIDMA(アイドマ)」に基づいていました。ちなみに、Desire(欲求)とAction(購買)の間に「Memory(記憶)」があるのは、マスメディア広告を見たときの「欲しい」という感情を記憶し、検討してから購買に至ることが想定されていたことが理由です。

2000年代:インターネット検索をもとにした消費行動

インターネットが普及し始めた2000年代になると、消費者がWebサイトやブログなどから情報を取得し、自身でも情報を発信するようになりました。企業と消費者が双方向に影響し合うようになったため、企業が取るべきマーケティング施策も変容しました。そこで提唱された消費行動モデルが、前述した「AISAS」と「AISCEAS」です。

ちなみに消費行動とは異なりますが、Googleは2011年に「ZMOT(ジーモット)」を提唱しました。ZMOTは、「消費者は店舗を訪れた時点で、何を買うかすでに決めている」という概念です。つまり、消費者は事前にインターネットで調べてから来店するため、Webサイトなどで顧客にアプローチする必要があるということです。

2010年代以降:スマートフォンとSNSをもとにした消費行動

2010年代以降になるとスマートフォンやSNSが普及し、人々が手軽に情報を収集・拡散できるようになりました。しかし、あまりに多くの情報があふれるようになり、消費者は何が「価値ある情報」かを判断しづらくなったことも事実です。

そのため、いかに企業が消費者に「共感」して価値ある情報を提供するかが、現代のマーケティング戦略のカギです。前述したように、DECAXは顧客目線でのマーケティングの重要性を説明しています。

さらに、2020年前後には新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、社会が大きく変化しました。例えば、オフィス以外の場所で働くテレワークや、実店舗ではなくオンラインでショッピングできるECサイトの利用促進です。こうした背景から、インターネット技術を活用したコミュニケーションの重要性が、今後さらに高まっていくと考えられます。

時代をトレースした消費者行動を自社の購買につなげよう

時代をトレースした消費者行動を自社の購買につなげよう

消費者が商品・サービスを購入するまでの消費行動は、時代とともに移り変わります。今回ご紹介したように、インターネットやスマートフォン、SNSの普及に伴い、企業のマーケティング施策は従来のマスメディア広告からWebサイト・SNSに転換しています。

さらに、今後は「モノ」を持たないリキッド消費の浸透も予想されるため、リキッド消費に対応した施策の実施も重要です。時代により移り変わる消費行動をトレースし、自社のマーケティング活動の最適化につなげましょう。

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