コラム

マーケティングリサーチとは?調査方法・手法を事例を交えて解説

2023.07.21

[コラム]

マーケティングリサーチは、顧客のニーズや市場動向などを把握し、企業が抱えるマーケティング課題を解決するための施策です。マーケティングリサーチで得られた結果は、商品・サービスの改善や新たなアイデアの発掘に活かせます。ただし、マーケティングリサーチは適切な手法・流れで実施しなければ、十分な効果が得られません。そこで今回は、マーケティングリサーチの概要や調査方法について解説します。

マーケティングリサーチとは?

マーケティングリサーチとは?

「マーケティングリサーチ」とは、企業が抱えるマーケティング課題の解決を目的に、顧客のニーズや市場動向などを把握するために行われるデータ収集・分析などの施策です。

マーケティングリサーチで得られた結果は、以下のようなマーケティング課題の解決に役立ちます。

  • 自社商材に対する顧客の満足度は高いか
  • 新商品やサービスの適正価格はどの程度か
  • キャンペーンやイベントの効果は現れているか

これらの課題に対して、実際に顧客の意見を集めることで解決策が見つかります。例えば、自社の商品やサービスの売上が好ましくない場合、アンケート調査やインタビューを実施することで、品質、価格、デザイン、CMなどの課題点が明らかになります。

ただし、調査手法によっては回答数や品質が低下する可能性があるため、マーケティングリサーチを実施する際は、質問事項や対象者の選定など入念な事前準備が欠かせません。

マーケティングリサーチで得られるメリット

マーケティングリサーチで得られるメリット

企業がマーケティングリサーチを実施することで、以下の3つのメリットが期待できます。

  • 顧客の実態ニーズを知ることができる
  • 企業が知りたい顧客の想いを知ることができる
  • マーケティングの失敗を回避しやすくなる

顧客の実態ニーズを知ることができる

マーケティングリサーチにより、顧客の実態ニーズを把握することが可能です。

例えば、アンケート調査で製品の満足度を5段階で評価してもらえば、大まかな傾向が分かります。満足度が3未満の顧客には、次の設問で「余分な機能が多い」「価格が高い」「デザインが悪い」など、選択肢を設けて問題点を指摘してもらいます。「余分な機能が多い」と答えた顧客が多ければ、顧客は高度な機能性を求めていないということです。

企業側が「良い」と考えて開発した商品・サービスが、実は顧客が求めているものと異なるというケースは珍しくありません。マーケティングリサーチの結果を分析すれば、顧客の実態ニーズを理解し、自社の商品・サービスを改善できます。

企業が知りたい顧客の想いを知ることができる

企業にとって、顧客の「声」は商品やサービスの開発・改善に欠かせません。マーケティングリサーチは、「ここを改善して欲しい」「こんな製品が欲しい」といった顧客の想いを可視化できます。インタビューを実施すれば、選択式アンケートなどでは得られない、顧客の消費行動や深い心理まで理解できるでしょう。

こうした調査で得られた情報は、新しい商品・サービス開発の方向性の発見にもつながります。さらに、顧客の意見を反映させた商品・サービスを開発することで、自社ブランドに対するイメージの向上も見込めます。

マーケティングの失敗を回避しやすくなる

マーケティングリサーチは、ビジネスのリスク回避にも役立ちます。例えば、商品・サービスの開発のために大量の投資を行ったものの、想定した売上高を達成できなかったというケースは珍しくありません。

顧客の消費行動や情報収集のプロセスが複雑化する現在では、市場のトレンドや顧客のニーズは常に移り変わっています。マーケティングリサーチを行うことで、リアルな市場環境を把握し、「何に投資すべきか」を判断しやすくなります。結果的に、収益につながる投資が行えるなど、的確な経営判断の一助となるでしょう。

マーケティングリサーチで気をつけるべき点

マーケティングリサーチで気をつけるべき点

マーケティングリサーチを行う際は、以下のような留意点があります。

  • 調査条件によっては十分な回答数が得られにくい
  • 調査手法によっては回答品質が低下する
  • 実施方法によっては必要な情報を取得しづらい

マーケティングリサーチは、回答数や精度に問題が生じるケースがあります。例えば、参加条件を絞り込みすぎて対象者が減ることや、アンケートの質問内容が分かりづらくて離脱数が増えるなどです。回答者がスマートフォンを使用する場合は、スムーズに回答できることが重要になります。

必要な対象者から効率よく回答を集めるためには「割付」や「スクリーニング」が用いられます。

「割付」は、年齢・性別・居住地域など、属性で分類したセグメントごとに目標回答数を設定する方法です。「20代100名、30代100名、40代100名」のように、セグメント別の目標回答数を決めれば、対象者を絞り込みながら偏りが少ない調査結果が得られます。

「スクリーニング調査」は、条件に当てはまる対象者を絞り込むために、本調査の前に実施する調査です。条件に満たない余計な回答を減らせるので、高精度な回答を増やせる上に、謝礼・報酬にかかるコストを減らせることが魅力です。

マーケティングリサーチの手法例

マーケティングリサーチの手法例

マーケティングリサーチの手法はさまざまですが、大きく分けると「定量調査」と「定性調査」の2種類があります。ここでは、それぞれのリサーチ手法について解説します。

定量調査

「定量調査」は、結果を「数字」で表現する調査手法です。例えば、商品やブランドの認知度、リピート率、顧客満足度などが該当するでしょう。データを数字で把握することで、全体に対する割合や時系列ごとの比較など、統計的な処理に活用できます。

定量調査の代表的な手法として、以下の3種類が挙げられます。

  • ネットリサーチ
  • 郵送調査
  • 会場調査

各リサーチ手法の特徴について見ていきましょう。

ネットリサーチ

「ネットリサーチ」は、インターネット上でアンケート調査を行う、マーケティングリサーチの代表的な手法です。調査対象者には「アンケートサイト」にアクセスしてもらうことで、紙面の印刷や郵送などを行わずにアンケート調査を実施できます。

ただし、回答にはインターネット環境が必須となるので、インターネットやデジタルに慣れていない人や高齢者層へのアプローチが難しい場合があります。

郵送調査

「郵送調査」は、対象者にアンケート用紙を郵送し、回答・返送してもらう手法です。ネットリサーチでアプローチしづらい高齢者層などを含め、幅広い顧客層の意見を集めやすいことが特徴です。ただし、参加者への負担が大きいことや、調査票の作成・郵送のコストと工数がかかります。

会場調査

「会場調査」は、事前に準備した会場に対象者を集めて、商品・サービスの使用感や機能性などを評価してもらう手法です。基本的なアンケート調査に加えて、簡易的なインタビューも合わせて行えます。ユーザーの反応を観察できるため、リアルな感情の変化や意見を把握しやすいことが魅力です。ただし、会場を手配・設営するために相応のコストがかかります。

定性調査

「定性調査」は、結果を「言葉」で表現する調査手法です。主にインタビュー調査を実施し、商品・サービスについて「なぜ利用するのか」「使ってみてどう思うか」「足りない点は何か」など、 顧客からのリアルなフィードバックが得られます。そのため、定性調査は顧客行動の背景にある心理などを深く掘り下げるために役立ちます。

定性調査の代表的な手法は、以下の3種類です。

  • デプスインタビュー
  • グループインタビュー
  • 行動観察調査

各リサーチ手法の特徴について見ていきましょう。

デプスインタビュー

「デプスインタビュー」は、インタビュアーと対象者の1対1で行われるインタビュー形式のことです。パーソナルインタビューとも言われており、商品を購入する動機や選択する上で重視した点などを細かく聞くことができます。

例えば、オンラインを通じて行う1対1のインタビューもデプスインタビューに該当します。

オンラインを用いたインタビューでは参加者の居住地を問わず、遠方の人にもアプローチできることが魅力です。インタビュイー(インタビューを受ける人)の多くが自宅から参加するため、リラックスした環境で参加者の本音を引き出しやすくなります。

ただし、Web会議ツールやカメラ、マイクが必要なことと、インターネットの接続トラブルに注意が必要です。

グループインタビュー

「グループインタビュー」は、複数の対象者をグループでまとめ、設定したテーマについて自由に発言してもらう手法です。1対1のインタビューでは抽出しづらい、顧客の潜在意識やニーズの把握に適しています。Web会議ツールを活用し、オンラインでグループインタビューを行うことも可能です。

ただし、円滑な実施には、モデレーター(司会者)のスキルが重要な役割を果たすことに留意する必要があります。

行動観察調査

「行動観察調査」は、対象者の行動を観察して情報を収集する手法です。商品・サービスの課題や顧客ニーズを明確化するために行われます。

例えば、ECサイトにおける顧客の行動履歴を分析すると、商品購入や予約にいたるまでの導線を把握できます。顧客がどのような商品に興味を持ち、何を求めているのかを把握することで、ECサイトの改善や新製品の開発などに活かせるでしょう。

マーケティングリサーチのやり方が分からない!?スムーズな方法とは

マーケティングリサーチのやり方が分からない!?スムーズな方法とは

マーケティングリサーチのやり方は、以下の3つのステップで理解すると分かりやすいでしょう。

  1. 企画
  2. 調査票作成
  3. 実施・分析

各ステップで意識すべきポイントについて、具体例を交えて解説します。

1.企画

まず、自社のマーケティング課題を明確化し、その原因について仮説を立てます。仮説の立て方に問題があると、調査の方向性がずれる可能性があるため、注意が必要です。

例えば、商品の売上が好ましくない場合は、「パッケージが良くない」「CMに課題がある」などの原因が考えられるでしょう。しかし、これだけでは曖昧で不十分です。「パッケージデザインに顧客の関心を引きつけるインパクトがなく認知されにくい」「CMのキャッチコピーや起用タレントがブランドイメージと合っていない」など、より具体的な要素を考慮することが重要になります。

複数の仮説が立てられたら、「必要な調査手法」と「収集すべきデータ」が明確になっているはずです。最適な調査手法を検討し、アンケート調査の場合は、仮説を検証するための質問や選択肢を検討し、インタビューの場合は聞きたい内容をまとめます。

こうして企画概要が決まったら、調査対象者を属性などの条件で絞り込み、必要に応じてスクリーニング調査を実施します。スクリーニング調査は本調査の成否を左右するため、丁寧に行う必要があります。

2.調査票作成

アンケート調査を行う場合は、質問事項と選択肢をまとめた「調査票」を作成します。回答率や収集データの精度を高めるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 回答者の答えやすさを意識する
  • 回答者の思考を妨げない構成にする
  • 回答者に余分な情報を与えない

回答者がスムーズに回答できるように、設問の文章を簡潔にして、選択肢は増やしすぎないようにしましょう。時系列で質問するときは「過去→現在→未来」の順番に、内容を掘り下げるときは「大きなカテゴリ→小さなカテゴリ」の順番に整理すると、回答者にとって分かりやすい調査票になります。

また、回答者の意識にバイアス(偏り)が生じないように、余分な情報を与えないことも大切です。例えば、「スマートフォンと聞いて思い浮かべるブランド」という質問にiPhoneの画像を掲載すると、回答者がiPhoneのイメージに引っ張られてしまいます。ブランドの浸透度や認知度を調査したいときは、特にバイアスに注意が必要です。

3.実施・分析

マーケティングリサーチの実施フローは、調査目的や手法によって異なりますが、ここではネットリサーチについて見ていきましょう。

ネットリサーチの実施時は、対象者をアンケートページへ誘導し、回答を記入してもらいます。回答が集まったら集計を行い、適切な方法で分析してレポートを作成します。集計方法には、1つの設問ごとにデータをまとめる「単純集計」と、ほかの設問やモニターの属性も考慮する「クロス集計」があります。全体の傾向をつかむときは単純集計、多角的に判断したい場合はクロス集計が適切です。

分析フェーズでは、実際のデータが仮説と合致するか、緻密な検証を行います。仮説どおりの結果が得られた場合は、課題と原因の関連性が裏付けられているので、具体的な施策を実行してビジネスに活かします。調査結果が仮説と異なる場合は、データを踏まえた戦略の練り直しが必要です。

実際にマーケティングリサーチを活用している企業事例:食品メーカー

実際にマーケティングリサーチを活用している企業事例:食品メーカー

マーケティングリサーチを活用している食品メーカーの成功事例をご紹介します。

乳製品やチョコレート、栄養食品などの製造販売を行っている食品メーカーでは、顧客のニーズに合う商品を開発するためにマーケティングリサーチを導入しています。

例えば、「デザートの満足点・不満点は?」「こんなデザートがあったらどう?」などのヒアリングでニーズを探ったり、新商品などの試食の感想を集めたりするなどです。商品の発売後は、事前に想定した顧客と実際の購入者が一致しているか比較し、購入回数や満足度なども調査しています。

こうして得られたデータは商品開発・リニューアルに活かされ、顧客ニーズとマッチした事業展開を実現する要因の一つとなっています。

マーケティングリサーチを活用して顧客にさらにコミットしよう

マーケティングリサーチを活用して顧客にさらにコミットしよう

マーケティングリサーチは、顧客ニーズや市場動向を正確に把握するために欠かせないマーケティング施策の一つです。適切な調査手法を用いてデータを収集すれば、商品・サービスの改善や、新たな商品・事業開発に役立てることができます。

今回紹介した調査方法やポイントを参考に、マーケティングリサーチを活用した商品・サービス開発をご検討ください。これにより、顧客との関係が一層強化され、ビジネスの拡大が期待できるでしょう。

三菱UFJ信託銀行(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ)が運営する情報銀行サービス「Dprime」なら、回答者の詳細なパーソナルデータをもとに、高品質なマーケティングリサーチが可能です。

■「Dprime」の詳しいサービス内容は以下でご覧いただけます。
【法人向け】情報銀行サービスDprime|三菱UFJ信託銀行の高品質マーケティングリサーチ

https://www.dprime-mutb.jp/marketing-research/・同一ウィンドウで開く

※外部サイト(別ドメイン)の場合は新規ウィンドウ

マーケティングの専門的知見を活かし、企業様のマーケティング課題把握やアンケート設計から、データの収集、レポーティングまで一気通貫でご支援いたします。この機会に、顧客ニーズや市場動向に着目したマーケティングリサーチについて、お気軽にご相談ください!

高品質なマーケティングリサーチならDprime
詳細なパーソナルデータをもとに、確かなリサーチを可能にします!

今すぐお問い合わせ/資料請求